2012/12/16

村上春樹さんのトラック

ポスト @ 9:47:07 | 渡米

 Zip Car で、日本スーパーの「えびすや」さんへ。途中、タフツ大学のキャンパスを通ると、あ、この競技場は。村上春樹さんが、ここに滞在していたときに走っていたトラックだ。『走ることについて・・』に写真が載っていて覚えていました。
 今でこそ、ノーベル賞候補の村上春樹さんですが、僕の大学時代は、まだまだ新感覚派のようなカルトな作家でした。愛読者も少なからずいたけれど、力は弱かったように思います。『世界の終わりと・・』を出した後、村上春樹さんは40歳を前に、仕事に集中するために、イタリア・ギリシャに3年ほど滞在し、『ノルウェーの森』以降を書きます。その後、アメリカのプリンストン、そしてこのケンブリッジに3年滞在して、『ねじまき鳥クロニクル』などの大作を完成。全作品集の解題に、日本を離れなければ違っていただろうと、書いていました。僕もそうだと思います。静かな環境での深い集中。これが何かを生み出すためには必要です。
 僕らの日常には、圧倒的な量の社会の物事があって、そこから外れないためには、気を分散して対処しなくてはなりません。そしてそれは人を集中から遠ざけます。そんなこんなで、今日見たタフツ大学のトラックは、僕にまた勇気をくれました。